wattsのノート−いろいろな本のノート

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2008/1/16 感想を書きました。


「東京のどこに住むのが幸せか」 山崎隆 講談社:2007年11月 9日発行

本の帯に「人気のあの街は、いま本当に『買い』か?」とある。『買い』なんて言葉を見ると、いかにも投資目的でマンションを買うような人向けの本と思われるかも知れない。もちろん、そういう人が読んで役に立つ本だと思うが、それ以外にも、単純に、これから東京で暮らそうと思っている人、東京という街に興味がある人、広く街というものの見方を知りたい人などに広く役立つ、興味深く読める本だと思う。

私は地方の中くらいの規模の県庁所在地の街中に住んでいて、小さいながら戦前からの家土地がある。街中でいろいろな税金諸経費を払いながら家土地を維持して行こうと思うと、人に貸して利益を得るというのは順当な方法だろう。家も私が生まれる前から一部をそうしているし、近所も軒なみマンション化している。しかし、うまく借り手がいるとばかりは限らない。自分の住んでる街がどういう性格の街で、どういう建物を、どういう貸し方をすれば歓迎されるのか。そのために街の見方、評価の仕方を知りたいと思った。

私自身は、大学時代は首都圏で生活していた。東京ではなく神奈川の方だが、もちろん折にふれて東京へ行くことはあり、大体どの地名がどの方角かくらいの見当はつく。もう長年東京へは行ったことはないが、いろんな文学作品や映画などにも登場する、日本の首都としての東京にも興味がある。東京という街を捉える手がかりとしても、この本は面白い。

前半は概論で、街の歴史を見ることで街の性格と将来性を見る見方が書かれている。東京という街の簡単な歴史解説にもなっている。どういう動機からどういう街、家に住みたいか。人それぞれだろうけど、この本の「はじめに」に書かれているように、それは「人生の選択に等しい。」のだ。街や建物との関係から自分を見つめ直し、よりよい人生の選択をする手がかりとなるのが、この本だ。本の後半には具体的に東京の各地域を取り上げて、星印で評価している。文章ではどの地域の街にも、それぞれの利点を上げるようにしているみたいだが、星印では、はっきり評価がついてしまう。それはともかく、あの街は、どんな街? と折に触れて参照する東京街事典としても使えるだろう。

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