2005/10/13 感想を書きました。
題名から分かるように経営の本、副題から分かるように中小企業の社長をやっているような、経営に携わっている人向けの本なのですが、これが読んでみると、私のような経済に疎く、経営に携わったことのないような人間でも読んで面白くためになる。著者が、この本で訴える、ものの見方、考え方の要点はシステムを知るということです。システムを知るとは、どういうことかというと、ゲームなどでの例が繰り返しあげられています。子供とやったウノ、マージャンの点数計算、カジノでのルーレット、ルールを知らないので負けてしまう。ところが経営において、このルール、システムを知らずに会社を経営している人が多い。そのために、おばあさんが年利 1%で1000万円を預金したより利回りが稼げない企業が多い。おばあさんより稼ぐには。著者があげるシステムとは「収入」「支出」「リスクのある借り入れ、リスクのない借り入れ」「日本の税制」「決算書」「価格」「リスク」です。これら、システムを知らない人には厳しく、知らない人からはかっぱらおうとする。しかし、知って利用しようとする人には優しい見方となる。これら「システム」をどう見て、どう対処するかが書かれているわけです。この本は現代日本における経営について書いているので、この 7つがあげられているわけですが、それに該当するシステムは、私たちの生活のいたるところにあると思います。身近なシステムを見極めて、それへの対処をして行くことは、この本は自立して生活していこうという大人にとって、非常に有益だと思います。そういう考え方を教えられる本です。
システムへの対処にあたって、経営においては、どういう数字をどう見るかということが重要になります。著者がこの本であげている数字の見方は、とても厳しいものだと思いますが、その厳しさが精神論でなく、理路整然と説明されているので納得行きます。システムの説明のところで書かれていますが、「支出」を節約しようと、自分は何もせずに従業員に電気を節約することばかりうるさく言う、会社の士気はさがって逆効果、こういうエセ精神論は本書の説くところと逆行することです。精神論ではないですが、本書に書かれている著者の生き方というのは会社を経営しているからといって、見栄を張って外車を乗り回すのはかっこ悪い、ボロボロのカローラが楽(p.63)、贅沢をするためにビジネスをするのではない、能力以上のお金が入って贅沢三昧して身を持ち崩すのなら、サラ金武でたっぷり借金して贅沢しても同じこと、自分がビジネスで目指すのはそういうところにはない(p.202) ということ、納得の行くことです。