2005/7/22 感想を書きました。
経済学のことが、まったく私は分かっていない。では、他のことはそれほど分かっているのかと言われれば、そういうことはないのだが、でも、経済学については、とりわけ分かってない感が強い。それは、文科系の学問なのに、何やら数式や数字が出てくることからの印象かも知れない。私は数学、いや、それ以前に、小学校の算数、足したり引いたりの筆算とかそろばんがきらいだった。でも、経済学って、お金という生活の基本を扱ってるものであるようだ。だから知りたい。知りたいだけに分かってない感が強かったのかも知れない。そこで、新書クラスの入門書で、いいものがないかなあと、以前から手にとって見たりしてあるのだが、パッと見て、それだけで敬遠したくなる、そんなものばかりだという印象だった。
しかし、今回、この本は、ちゃんと読めた。個人の経済活動の基本から、市場、金融、国家の役割や国際経済の問題まで、それは専門用語も出てくるけど、なるたけ、分かりやすく親切に説明している。そして、「はじめに」で「本書は、現実の経済を経済学を使って理解することを意図しています。現実の経済と経済学の橋渡しを意図しているといってもいいでしょう。〉と書いてある通り、折りにふれて、現在、我々が日本社会の中で直面していうる、経済に関する問題の見方を、経済学の基本と結びつけながら、解説している。もちろん、この本に書かれている見方が、絶対に正しいというのではないだろうけど、経済について、まったく分かってない私のような者が、そういう問題を考える際の最初の手がかりには、なる。
経済のことをまったく分かってなくて、算数の苦手な私が、数年、自分の家に関連した、小さな小さな会社の経理を担当、帳簿をつけて、法人税の申告をやらなければならないということがあった。まったく単純で簡単な経理なのだろうけど、それでも私にとっては、勝手が分からず、計算が合わず、泣く泣くやっていた。でも、さすがに、それで損益計算書や貸借対照表が、基本的にどういうものかは分かった。この本がちゃんと読み通せたのは、その経験のおかげもあるかも知れない。そういう経験を積んだところに、このような親切な入門書が登場したのが、いいタイミングだったと言える。